検定の基礎知識

はじめに

検定には、「機械等の検定制度の概要」のページで解説してありますように「個別検定」と「型式検定」があります。いずれも、検定を受けようとする機械等が厚生労働大臣の定める基準(規格及び製造者の保有すべき設備等)に適合するか否かが、検定の下で行なわれる試験等により確認されます。

個別検定
検定対象となる機械の1台ごとに行われるもので、当協会の個別検定品目は“ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置(電気的制動方式のもの)”だけです。

型式検定
機械等の型式ごとに検定を受ける方式であり、検定に合格した型式の機械等は、型式検定合格証の有効期間の間、数に制限なく製造又は輸入することができます。


初めて検定を受けようとする方は、おそらく、何から始めればよいか迷われることと思います。そうした方々のお役に立つように、当協会へ寄せられる質問をQ&A形式で整理してみました。各項目に目を通されたあと、具体的な内容についてご相談下さい。

なお、個別検定と型式検定は性格が異なるため、検定の受け方も異なります。

以下のQ&Aは、当協会の実績から見ても圧倒的に数の多い型式検定の場合を対象としています。個別検定については、直接ご相談下さい。(以下、「検定」は「型式検定」を意味するものとします。また、ここでは、新たに検定を受けようとする場合について述べます。)

Q1:どんな製品について検定を受けることができるか?

A:当協会がお受けできる品目(機械等)は、日本国内で使用されることを目的とした防爆構造電気機械器具など13品目です。それらの品目は本ホームページ「機械等の検定制度の概要」に示してあります。当協会は、これらの品目の検定を厚生労働大臣の登録型式検定機関として実施しています。

Q2:検定は誰でも受けることができるか?

A:検定の対象となる機械等の製造者又は輸入者であれば、会社でも個人でも検定を受けることができます。外国の製造者が、外国から直接検定を申請することもできます。また、これらの機械等のユーザーも、輸入者として検定を申請することができます。稀な例では、自社で使用する機械等を自ら製造して、「製造者」として検定申請することもできます。

Q3:検定を受けるには特別な資格が必要か?

A:産業現場で働く人達の安全衛生に直接関係する機械等の検定であるため、検定を受けようとする方(以下、申請者といいます。)が次の設備等を有していなければならないと定められており、これは検定に合格するための条件の一つとなっています。
なお、外国製造品については、外国の製造者がこれらの設備等を有している場合には、申請者(輸入者)がこれらの設備等を持つ必要はありません。

  1. 検定を受けようとする型式の機械等の製造に必要な設備のほか、その機械等の検査に必要な設備
    検査に必要な設備は機械等の種類に応じて定められていますが、他者の所有するものを随時使用できる場合には申請者が保有すると見なされる設備もあります。
  2. 検定を受けようとする機械等の製造に関する工作責任者
    工作責任者には、学歴と一定期間の実務経験等が資格要件として求められています。
  3. 検定を受けようとする型式の機械等が厚生労働大臣の定める規格に適合することを自ら検査するための検査組織
  4. 検定を受けようとする型式の機械等の検査基準、検査方法等を定めた検査規程

Q4:1台だけしか作らない機械等の検定を受けるときも、上記と同じ資格要件が必要か?

A:1台(1個)だけの機械等については、「単品」として型式検定を受けることができます。この場合には、申請者はQ3のイ.~ニ.の設備等を保有する必要はありません。また、次のQ5に示す“あらかじめ行った試験の結果を記した書面”を提出する必要もありません。

Q5:検定を受けるときに必要なものは何か?

A:大別すれば、次の3つです。
    ○申請書類
    ○供試品
    ○手数料

1.申請書類としては、少なくとも次のものが必要です。
  1. 所定の様式の“新規検定申請書”
  2. 検定を受ける機械等の構造図、回路図など
  3. 検定を受ける機械等の性能・取扱い説明書
  4. Q3に示した製造検査設備等の概要を記した書面
  5. 検定を受ける機械等について申請者があらかじめ行った試験の結果を記載した書面


2.供試品は、検定試験・検査を実施できる状態の完成品を、原則として申請時に提出していただきます。供試品の提出数は、検定を受ける機械等の種類によって下記のように異なります。また、機械等の種類によっては、部品等を別に用意していただく場合もあります。

[供試品の提出数]

  • 保護帽の場合は4個
  • 絶縁用保護具の場合は2個
  • 絶縁用防具の場合は2個
  • 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の場合は2台
  • 防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具
区分 現品等の種類 個数
防じんマスク 取替え式(吸気補助具付き、吸気補助具付き以外)のもの 現品 5
ろ過材 7
排気弁及び弁座 3
使い捨て式のもの 現品 12
使い捨て式のもの(排気弁付) 現品 12
排気弁及び弁座 3
防毒マスク 防じん機能のないもの 吸収缶のみのもの 現品 1
吸収缶 15
防毒マスク 現品 4
吸収缶 13
排気弁及び弁座 3
防じん機能のあるもの 吸収缶のみのもの 現品 1
吸収缶 23
防毒マスク 現品 4
吸収缶 20
排気弁及び弁座 3
電動ファン付き呼吸用保護具 面体形のもの 現品 7
ろ過材 14
排気弁及び弁座 3
ルーズフィット形のもの 現品 6
ろ過材 14

上記以外は、原則として1個(1台)

[試験の準備に必要なもの]  ・取替え式吸気補助具付き防じんマスクの場合、充電器1個を提出してください。
 ・電動ファン付き呼吸用保護具の場合、充電器3個及び粒子捕集効率試験用治具1個を提出してください。

3.検定手数料は、検定を受ける機械等の種類によって異なるほか、同じ種類であっても寸法などによって異なる場合があります。当協会が行う検定の手数料は、「検定手数料」をご覧下さい。

Q6:検定申請の手続きはどこで行うのか?

A:当協会の本部(狭山市)で申請をお受けします。次のいずれの方法でも結構ですが、極力次の2の郵送・託送により申請する方法をご検討ください。なお検定申請が初めての場合は、まずWebフォームからのお問い合わせやメール、又はお電話にてご相談ください。

1.本部で申請の手続をする方法
本部へ申請書類と供試品を直接提出して、申請していただく方法。
手数料は現金でお支払いいただいても結構ですし、あらかじめ銀行振込して、振込を証明する書類をお持ちいただく方法等でも結構です。

2.郵送・託送により申請する方法
郵送・託送により申請書類と供試品をお送りいただいても、申請をお受けします。ただし、この場合は原則として検定手数料は銀行振込とし、振り込みを証明する書類を同封してください。


はじめての場合は、検定をお受けできるものであることを確認させていただいた後に手数料をお支払いいただくこととしておりますので、よろしくお願いします。

なお、検定終了後の供試品の返却、検定結果を示す書面(合格証)の引き渡し等の方法は申請者のご希望に沿うようにいたしますが、その費用は申請者の負担となります。

Q7:検定はどのように行われるのか?

A:検定の試験・検査は、資格のある検定員が、公平・迅速をモットーとして、当協会検定部門の品質管理システムに従って実施します。
検定の実施場所は当協会本部ですが、これと同等の試験・検査が実施できる場合には、申請者の希望する場所(製造工場、機械等の設置現場など)へ検定員を出張させることができる場合もあります。この場合の旅費、宿泊費等は申請者の負担となります。

Q8:検定に要する期間はどれくらいか?

A:申請書類と供試品が完備されており、申請受理後に申請者の十分なご協力が得られる場合には、保護帽や絶縁用保護具などについては、申請の受理から検定結果を示す書面の引き渡しまでの期間はおおむね1カ月です。
プレス機械の安全装置や防爆構造電気機械器具(特に本質安全防爆構造のもの)の場合には、もう少し時間をいただきますが、2.5~5カ月以内には結果を出すように努力しています。

Q9:外国製造品に対する特別な取扱いはあるか?

A:製造検査設備等については、Q3に示した取扱いがあります。外国の試験、検査機関のテストレポートを、“あらかじめ行った試験の結果を記した書面”として利用できる場合があります。「指定外国検査機関制度について」をご覧下さい。

Q10:検定に関する相談窓口はあるか?

A:検定申請の手続きや規格の解釈などについての相談・質問は、原則として無料でお受けしています。

できるだけ速やかに相談・質問にお答えするよう努力しますが、検定業務との兼ね合いもありますので、すぐに回答できない場合もあることをご承知願います。

なお、詳細については、「お問い合わせ」のページをご覧下さい。

 

おわりに

初めて検定申請をなさる方には、特に次のことをお願いしております。ご協力をお願いします。

1.検定の根拠、検定対象品目、検定の基準など、法令に定める事項を理解していただくこと。

2.検定を受けようとする機械等の規格(厚生労働大臣が定めた規格)を理解していただくこと。

3.検定業務を円滑に進めるために必要な手続き、様式等を理解していただくこと。

このために、当協会では、検定申請の手引き・ガイドなどを用意しておりますのでご利用下さい。これらの資料には頒布しているものもありますので、「書籍等の頒布」のページをご覧下さい。