2021年度 学ぶ動画(Technical Solution) ~防爆電気機器・型式試験コース~ QA

2023年12月19日 更新

皆様からいただいたご質問とその回答

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1) 小型部品【要求事項】小形部品(総則5.3.3, 本安5.6.2) 佐藤 英徳 講師

Q.小型部品の条件を適用せずに、通常の温度等級の温度を適用することも可能とありましたが、
あえて温度等級の温度を適用するケースとして、どのような場合が想定されるのでしょうか。
A.小形部品にかかわらず、要求事項に選択肢のあるものについては申請者・製造者が自由に決定できますので、
私どもではわかりかねます。解説の意図は小形部品を適用しないとならないわけではないということです。
Q.許容熱抵抗>500K/Wであれば試験省略可はどこに記載されているものでしょうか。
A.指針に記載はございません。当協会の経験によるものです。
Q.ポテンショメータの抵抗値を10%にするために推奨される方法はありますでしょうか。
A.形状・構造によるため、方法は様々です。パッケージの大きいもので、熱電対を取り付けることができれば、元々の部品を使用してよいと思います。
それ以外は何か導電性のもので10%になるように短絡するしかないと思います。

1) 小形部品【試験】本質安全防爆構造の小形部品の温度試験 ~一般事項及び熱電対による測定~ 久保 卓郎 講師

Q.周囲温度を測定する熱電対の適切な位置については、貴協会において何かしらの指標がありますでしょうか。
A.明確な指標はありませんが、①素子の周囲の温度と同様の温度である(試験対象から離れすぎない)こと、
②素子の発熱の影響を最小限とする(近すぎない)ことの2点に気を付けています。
指標がないというのも、②は素子の大きさや表面温度によって異なるため影響を受けていると思われる場合は試験中に調整することもあるためです。
Q.・スライド8「2.表面積」には「表面実装:6面すべての面積を合算」と書いてあります。
・解説では「表面実装の場合も同じですが、リード部分は対象にはなりません」とありました。

チップ抵抗器やチップインダクタ等の場合、解説の通りですとリード部分を除いた表面は「4面(部品の2端面はリード部のため)」になると思いますが、やはりスライドに書いてある通り「6面」で計算すべきでしょうか。
A.6面が対象になります。

 

2) 抵抗法【要求事項】抵抗法(本安10.2) 佐藤 英徳 講師

Q.巻線が銅でない場合は、その材料係数を入手する必要があるとのことですが、
材料係数のデータについては使用している巻線メーカのものでなければならないのでしょうか。
例えば、同一組成の他社メーカのデータを参照するなど。
A.「同一」であれば他メーカーでも可です。同様に理科年表等の引用も可です。

2) 抵抗法【試験】本質安全防爆構造の温度試験 ~抵抗法による測定~ 久保 卓郎 講師

Q.電流電圧変換用の固定抵抗器(10Ω)は、許容電力はどのくらいの固定抵抗器を使用されておりますでしょうか。
試験電流によっては固定抵抗器自体の抵抗値も変化してしまうことも想定されるため、その場合は、抵抗を並列にされたりとかを行ったりするのでしょうか。
A.通常80Wのものを用いています。おっしゃるとおり、この抵抗値が変動すると正しい測定が行えませんので、抵抗値を小さくして抵抗器での消費電力を抑える、
直列/並列にして消費電力を分散させるなどして、できるだけ測定に影響しないようにしています。別途電流計を挿入し、値を比較しながら試験を進めるのも有効です。
Q.
試験の動画を見る限り、2K/hの判断は非常に早いように感じました(動画なので仕方ないのかもしれませんが)。
貴協会での具体的に温度が安定した(2K/hになった)場合の判断方法、あるいは、ある程度時間を決められて測定をされているのかを教えてください。
外部熱影響を受けないよう貴協会と同様の処置をしてもTaの影響を受けてしまい、なかなか安定しないのが現状かと思います。
A.動画では大部分の単調な時間や裏での作業時間をカットしております。試験対象にもよりますが、小形部品の場合、10~20分程度で温度が安定することもありますので、
決まった時間というよりはサンプル個別に温度波形を見て確認しています。
外部の熱の影響はどうしても排除が難しく我々も苦慮している所です。今のところ、風の出ない拡散に任せた温度試験専用の部屋で試験を行うか、
隣の部屋に空調を付けて扉を開け、試験を行っている部屋の空調は切るなどで対策しています。
Q.
1W消費となると、製品(抵抗に低いもの)や試験設備によっては消費が困難なものもあるかと思います。
その場合、出来るだけ計算しやすい0.1Wや0.5Wでも構わないでしょうか。
社内試験結果と同じような電力で試験を実施されますでしょうか。
A.はい。条件より低い電力で測定した温度上昇、消費電力から、目的の電力における温度上昇を算出することが可能です。
低い電力で測定した結果から補完(外挿)した場合、厳しい結果となる傾向にありますので、許容値を超えてしまうおそれがある点はご承知おきください。
Q.周囲温度の変動影響についてt1とt2自体には差があっても良いが、算出される温度上昇に影響を及ぼすのでなるべく差がない(少ない)ことが望ましいとのことでしたが、
貴協会で試験を行う上でやむなく差が確認された場合は、どの程度の差までは許容されるのでしょうか。何かしらの指標があるのでしょうか。
A.明確な指標はありませんが、そもそも変動の大きな場所で試験をしないようにしています。
こちらの回答も合わせて参照ください。
変動が確認された場合は、許容値との間に十分な余裕がある場合には変動を許容する場合もありますが、上記のとおり、変動を少なくする努力をすることを第一としています。

 

3) 電池【試験】本質安全防爆構造の電池の温度試験 ~電池の温度測定~ 久保 卓郎 講師

Q.動画では単三アルカリ乾電池を使用されていましたが、2次電池の場合で電池に保護素子は付いているが電池パッケージの外側についている場合、
検定の申請者が取り外したものでも試験のサンプルとして認められますか。
A.はい。電池のパッケージ内蔵の場合は電池メーカーに除去してもらうのが良いですが、パッケージ外の素子は申請者(機器の製造者等)で除去していただいて構いません。
Q.
短絡装置に使われているFETの型式などはご教示いただけますでしょうか。
A.使っている素子をそのままお教えすることはできかねますが、我々の選定条件としては、オン時の抵抗が1mΩ未満であること、連続電流100A以上を流すことができることです。
Q.短絡装置について3mΩ以下とのご説明ですが、3mΩとされた指標は何かあるのでしょうか。
A.本質安全防爆構造の指針(JNIOSH-TR-46-6: 2015)の箇条10.5.1の要求事項によります。抵抗値の他に試験中の電圧降下も許容されていますが、3mΩ以下の試験装置を有していれば電池の種類を問わず適用できるため、我々では抵抗値が条件を満たす試験装置を準備しています。
Q.温度試験としては、ピークの前後をある程度の期間取れれば問題ないとのことですが「ある程度」の指標が決まっておられるのでしょうか。
また、電池によっては2度目の温度ピークが来るかもしれないので、ある程度温度が下がってくるまで試験継続とのことですが、
こちらの「ある程度」につきましても何かしらの指標を決められておられるのでしょうか。
A.ピークの温度の測定に関してはピーク時の温度を逃さなければ指標はありません。
試験期間としては、電池の種類によって異なりますが、通常の単3アルカリ乾電池の場合は、試験中の周囲の温度+10℃を目安としています。
ただし、温度の他に電流で短絡を終了する条件を定めています。こちらも電池の種類によりますが例えば100mAまで減少したら短絡を終了する、などです。
短絡の終了判定については特に指針に定めのあるものではありません。試験をやるうちにノウハウが積まれていくと思いますので、独自の終了基準をお持ちになるのも有効と考えます。
Q.動画内での試験温度環境は映像を取りやすくする関係から23℃で行われておりましたが、基本は本安防爆機器の使用環境最高温度で試験するということを拝見いたしました。
例えば、最高温度が40℃の場合、恒温槽内40℃の環境で試験すると考えますが、電池も40℃の環境に馴染ませた状態から試験を始めるのでしょうか。もしそうならば、単一アルカリ電池の場合、電池はその環境下で何時間最低でも馴染ませなければいけないでしょうか。または、23℃などの室温環境より電池を恒温槽内に持ってきて、即試験を行うのでしょうか。
A.はい。なじませて実施します。恒温槽の性能にもよりますが、通常温度コントロールしていない状態の恒温槽に電池を入れ、その後恒温槽を運転させ、恒温槽が目標の温度に安定してから30分~1時間程度待って試験を行っています。確認のすべはありませんが、電池内部の構造(電解液やセパレータなど)が目標の温度になっているのが理想です。
Q.電池の温度試験にて使用されている、FETのコントロール用回路を含めた短絡装置の回路構成についてご教授いただけませんでしょうか。回路構成はスライドp.5と同様のもので十分です。
A.回路は電池と短絡リンクを介してスイッチが接続された単純なものです。必要に応じて電流監視用のシャント抵抗を直列に入れる場合があります。通常は電流プローブで測定するため、シャント抵抗なしで試験系を組んでいます。スイッチはFETによるスイッチを使用しているため、FETのコントロール用の回路を用意しています。
Q.電池を短絡させるケーブルの抵抗値は3mΩいないとのことでしたが、電池を短絡させるためのニードルの先端の接触抵抗は考えなくて良いのでしょうか。
ニードルで挟み込むのでは、接触抵抗が大きくなるような気がしますがいかがでしょうか。
A.短絡リンクへの接触抵抗は3mΩの要件には含めなくて結構です(国際整合技術指針第6編10.5.1参照)。接触抵抗も低いのが理想ではありますが、接触抵抗を減らすためには接触面積を増やすなどの対策が必要になり、電池の放熱を助ける結果となります。現在は短絡リンクに放熱しすぎず、なるべく低い接触抵抗とできる構造としてニードル状の短絡リンクを採用しています。今後よりよい形状、材質に更新してゆく可能性もあります。

 

4)温度試験 【要求事項】温度試験  山根 泉 講師

Q.
P77:ケーブル引き込み口温度が指針では以前より70℃であったと記憶していますが、
貴協会の慣例で導線引き込み口が60℃を超えてしまった場合、ケーブルの耐熱温度が指定されていたと記憶していますが、
現指針においては60℃の考えは不要と考えてよろしいでしょうか。
A.通達により、指針を活用して適否を判断しますので、70℃が表示の有無の判断基準となります。
ただし、指針を発行した当時の分科会における内容検討の際、60℃が国内のケーブルの標準的な
許容温度であり、60℃を超えたら、耐熱温度を機器に表示することを推奨する(望ましい)ものとされたようです。
上記事情により、当協会は、温度測定の結果60℃を超えた場合は、耐熱温度を表示することを
推奨しますが、申請者にてリスクを判断され、表示されないことを希望される場合、表示不要です。
Q.
P80:防爆構造・IPの維持とありますが、申請者がIPを表記しなければ対象とはならないと思います。
P80の例の場合、防爆構造に関与しないパッキンの場合は、そのパッキンの代わりになるようなサンプルを入れて試験をすれば、計測対象とならないのではないでしょうか。
パッキンの代わりに同じ形状の金属板等を設けて試験した場合を想定しております。
A.1)>申請者がIPを表記しなければ対象とはならない
 今回の温度測定の解説は総則に基づくため、複数の防爆構造を対象に指定ています。
 まず、P80の例について、ブッシングの箇所に”耐圧防爆構造”の文言を記載したため、分かりにくくなり申し訳ありません。
 耐圧防爆構造の場合、防爆性の評価にIP不要ですが、 安全増や、非点火、容器による粉じん防爆構造は防爆性の評価にIP試験は必要です。
 つまり、防爆構造毎にIPが対象となるかどうかは異なります。

2)>防爆構造に関与しないパッキンの場合は、そのパッキンの代わりになるようなサンプルを入れて試験
 ご質問のパッキンとは、P80の”樹脂製の押さえ板”を指すものと判断します。
 P80の例が耐圧防爆構造とする場合、当該パッキンを取り外すと、平面接合部に(パッキン厚みの)空きが生じて、
 耐圧防爆構造の平面接合部の隙間の構造要件に対して不適合となる場合があります。
 その場合、当該パッキンは(欠くことのできない)防爆構造に関与する容器の非金属製部分と判断されます。
 この場合、当該パッキンは熱安定性試験の対象となり、代わりになるようなサンプルを入れて試験をすることは認められません。

4)温度試験 【試験】温度試験  日之内 亨 講師

Q.
伝熱ペーストについて、協会ではどちらのメーカー、種類などの物をご使用されているのでしょうか。
協会やIECEEなどで推奨されているものや、伝熱ペーストの選択時に気をつけるべきことなどはありますか。
A.メーカ・型番については、お答えすることはできませんが、
パソコンのCPUとヒートシンクの間に塗るペーストを用いています。
「CPUグリス」「サーマルグリス」などで調べていただくと、該当する製品がたくさん出てきます。
この用途で用いられるものでしたら、伝熱に関しては特に問題はないと思います。
動画で使っていたグリスの熱伝導率は、約5W/(m・K)です。

グリスですので、耐熱温度以上の高温に晒し続けると、乾燥して剥がれる場合があります。
一般的に売られているものでは、耐熱温度が150℃~200℃のものが多いようです。
これよりも高温になる箇所を測定する場合は、耐熱温度の高いものを選ぶ必要があります。

 

5)熱安定性試験および熱衝撃試験  小川 真司 講師

Q.
予め行った試験の結果の中に「チャート」と表現されている部分がありますが、例えば単純な温度サイクル(高温4W、低温1d)の場合は、
チャートでの説明は必要ないのではないかと思います。そのような場合でもチャートは必要になりますでしょうか。
A.はい、必要になります。
温度が試験条件から外れていないかを確認するためにもチャートは必要になります。
Q.
持込み検定の際、社内試験で行ったサンプルを、その後の検定でも活用可能と説明されていましたが、その際の条件はどのようなものがありますでしょうか。
例えば測定器、試験装置のトレーサブル証明や校正証明など。
A.検定で要求されている試験が正しく出来た、もしくは出来るサンプルでしたら活用可能ですので、校正証明書などは必須ではございません。
Q.
熱安定性試験時のトレンド(恒温槽内の記録)までは要求されませんでしょうか?
A.校正された恒温槽をご使用でしたら機器として性能が担保されていますので必要はございませんが、校正されてない場合はチャートのご質問にも関わりますが校正された測定器で温度や湿度を記録する必要がございます。