機械等の検定制度の概要

労働安全衛生法のもとでの「検定制度」のあらまし

1.危険な作業や有害な作業を伴う機械等に関する規制

わが国内で使用されるものについて、機械等の種類に応じて次の表のように定められています。(労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令)

検定を受けなければならない機械等は17種類あります。これらの17種類の機械等は、登録検定機関で検定を受け、これに合格することが必要です。

IECExシステムやATEX(欧州防爆指令)で機器認証されているもの、または他の海外認証されているものであっても、改めて登録検定機関の検定を受けなければ、わが国では使用出来ませんので、注意ください。

機械等の種類
具備すべき要件、検査・検定の要否
・特に危険な作業を必要とするもの
ボイラー、クレーンなど8種類
(「特定機械等」と呼ばれる。)
・製造許可が必要
・製造や輸入に際しては検査が必要
・検査証のないものは使用できない、など
・危険な作業を必要とするもの
・有害な作業を必要とするもの
・危険な場所で使用するもの
・危険防止のために使用するもの
・健康障害防止のために使用するもの防爆構造電気機械器具、防毒マスク、動力プレス機械、保護帽、安全帯、研削といしなど50種類
厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡、貸与、設置ができない。 検定を受けることが必要なもの17種類 「個別検定」が必要(4種類の機械等)
「型式検定」が必要(13種類の機械等)
上記の17種類以外は、検定を受ける必要はないが、規格・安全装置を具備している必要がある。

2.「個別検定」「型式検定」と「登録検定機関」

個別検定: 機械等の1台ごとについて個別に行われる検定
同じ型式のものでも、1台ごとに検定を受ける必要があります。検定合格証に代わるものとして、その機械等の「明細書」に合格印を押したものが交付されます。
型式検定: 機械等の型式ごとに行われる検定
検定に合格するれば、その型式に対して「型式検定合格証」が交付され、合格証に記載された有効期間の間は、その型式の機械等を(数に制限なく)製造又は輸入することができます。
登録検定機関:
平成16年3月31日から、国に代わって検定を実施する機関が、国の指定した検定代行機関から、一定の要件を満たせば登録できる登録検定機関に変更されました。
個別検定・型式検定とも、特別な事情が生じた場合を除き、登録検定機関が検定を行うことになります。
検定を受けなければならない機械等は次のとおりです。(平成30年1月現在)

公益社団法人 産業安全技術協会は、個別検定1品目及び型式検定12品目について(赤塗りつぶし箇所)、登録検定機関として厚生労働大臣の登録を受けています。
個別検定を受けなければならない機械等
(1) ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置(電気的制動方式のもの)
(2) 第二種圧力容器 (3) 小型ボイラー (4) 小型圧力容器
 
型式検定を受けなければならない機械等
(1) ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置(電気的制動方式以外の制動方式のもの)
(2) プレス機械又はシャーの安全装置
(3) 防爆構造電気機械器具
(4) 防じんマスク
(5) 防毒マスク
(6) 木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置(可動式のもの)
(7) 動力により駆動されるプレス機械(スライドによる危険を防止するための機構を有するもの)
(8) 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
(9) 絶縁用保護具
(10)絶縁用防具
(11)保護帽
(12)電動ファン付き呼吸用保護具
(13)クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
(参考)
産業安全技術協会は、昭和47年に防爆構造電気機械器具の検定代行機関に指定されて以来、各種の機械等の検定代行機関としての指定を受けていましたが、昭和52年の労働安全衛生法の改正によって個別検定と型式検定が明確に区別されたことに伴い、昭和53年に、現在検定を実施している機械等の個別検定代行機関及び型式検定代行機関として改めて指定されました。
また、防じんマスク及び防毒マスクについては、平成12年11月に型式検定代行機関として指定されました。
平成16年3月31日をもって当協会は、検定代行機関から登録検定機関に移行しました。
電動ファン付き呼吸用保護具については、平成26年12月に登録型式検定機関となっております。

3.検定の基準

個別検定・型式検定は、いずれも「機械等検定規則」に基づいて実施されます。
検定に合格するための基準は、個別検定と型式検定では異なります。

【個別検定の基準】
その機械等が、厚生労働大臣の定める規格に適合すること。
【型式検定の基準】
次の2つの基準を同時に満たすことが必要です:
1)その機械等が、厚生労働大臣の定める規格に適合すること。
(それぞれの機械等について、規格が定められています。)
2)型式検定申請者(外国製造品の場合には外国製造者)が、その機械等の製造・検査に必要な設備等を有すること。
(必要な設備等については、「機械等検定規則」に定められています。)
「機械等検定規則」については、「法令と規格」をご覧ください。

また、法令等データベースシステム(厚生労働省)からも検索できます。

なお、防爆構造電気機械器具については、実際上2つの規格体系(→ 『電気機械器具防爆構造規格の構成』)がありますので、それらについて、まずご理解ください。

4.検定の対象とならない機械等と産業安全技術協会

厚生労働大臣が定めた規格又は安全装置を具備すべき50種類の機械等のうち、検定を受けなければならない機械等は17種類で、それらについては検定実施者が交付した検定合格証等により安全性などを確認することができます。

一方、検定が不要な機械等については、規格又は安全装置を具備することをメーカーが示すのが一般的ですが、エンドユーザーが第3者機関による確認の結果を求める場合もあるようです。

当協会は、メーカー等からの依頼に応じて、第3者機関として、これらの機械等のうちの乾式安全器などについて、規格の要件を満たすことを確認する「安全性能試験」又は「認定」を実施しています。