電気機械器具防爆構造規格の構成
1.防爆構造電気機械器具について厚生労働大臣が定めた規格は、ただ一つ 「電気機械器具防爆構造規格」(昭和44年労働省1)告示第16号;以下「構造規格」という。)だけです。
構造規格はただ一つですが、その五条の「第二章(第八節を除く。)から第四章までに規定する規格(以下この条において「規格」という。)に適合しない電気機械器具のうち、特殊な材料が用いられており、若しくは特殊な形状であり、若しくは特殊な場所で用いられるものであり、又は規格と関連する国際規格等に基づき製造されたものであつて、規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有することが試験等により確認されたものは、規格に適合しているものとみなす。」という規定に基づいて、国際規格(IEC規格)に基づいた規格体系が検定の基準として運用されていますので、実質的には2つの規格体系があることになります。
国際規格に基づく基準としては、昭和63年以来「技術的基準」(略称)が用いられて来ましたが、平成 22年の通達(基発0824第2号;平成22年8月24日)の発出に伴い「技術的基準」は廃止されることとなりました。
平成22年8月24日からは基発0824第2号により、「技術的基準」に代わって「国際整合防爆指針2008」2)に適合するものが構造規格に適合するものとして扱われて来ましたが、平成27年8月31日に基発0831第2号が発出され、「国際整合防爆指針2015」3)が新たな基準(国際整合防爆指針2008は廃止)となりました。
その後、平成30年3月28日の基発0328第2号を経て、令和3年8月12日の基発0812第5号により、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所(以下「安衛研」という。)が平成27年に定めた「国際整合防爆指針2015」3)の第1編(JNIOSH-TR-46-1:2015)から第9編(JNIOSH-TR-46-9:2015)まで、安衛研が平成30年に定めた「国際整合防爆指針2018」4)の第2編(JNIOSH-TR-46-2:2018)から第5編(JNIOSH-TR-46-5:2018)まで、第7編(JNIOSH-TR-46-7:2018)及び第9編(JNIOSH-TR-46-9:2018)並びに安衛研が令和2年に定めた「国際整合防爆指針2020」5)の第1編(JNIOSH-TR-46-1:2020)、第8編(JNIOSH-TR-46-8:2020)及び第11編(JNIOSH-TR-46-11:2020)についても、防爆構造規格に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準となりました。なお、第11編はEx2020の第1編を補完する補完規格となります。
これにより、平成27年局長通達及び平成30年局長通達は廃止されました。
併せて当協会ホームページのお知らせページを参照願います。
電気機械器具防爆構造規格第5条の規定に基づいて製造された防爆構造電気機械器具の検定の基準が改正されました(基発0812第5号1発出のお知らせ)
1)現在は厚生労働省
2)国際整合防爆指針2008:労働安全衛生総合研究所技術指針「工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術指針2008)JNIOSH-TR-NO.43(2008)」の略称
3)国際整合防爆指針2015:労働安全衛生総合研究所技術指針「工場電気設備防爆指針-国際整合技術指針 JNIOSH-TR-46-1~-9:2015」の略称
4)国際整合防爆指針2018:労働安全衛生総合研究所技術指針「工場電気設備防爆指針-国際整合技術指針 JNIOSH-TR-46-2~-5、-7、-9:2018」の略称
5)国際整合防爆指針2020:労働安全衛生総合研究所技術指針「工場電気設備防爆指針-国際整合技術指針 JNIOSH-TR-46-1、-8、-11:2020」の略称
以下、規格や関連通達などを示します。
構造規格に関連するもの
昭和44年04月01日 労働省告示第16号
「電気機械器具防爆構造規格」
(厚生労働省法令等データベースシステムのにおいて検索可能です)
平成20年9月25日 基発第0925001号
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び電気機械器具防爆構造規格及び昭和四十七年労働省告示第七十七号の一部を改正する告示の適用について」
平成20年9月25日 基発第0925004号
「機械等検定規則の一部を改正する省令の施行について」
平成22年8月24日 基発第0824第2号
「電気機械器具防爆構造規格における可燃性ガス又は引火性の物の蒸気に係る防爆構造の規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有するものの基準等について 」(平成27年8月31日 基発0831第2号をもって廃止)
平成27年8月31日 基発0831第2号
「電気機械器具防爆構造規格第5条の規定に基づき、 防爆構造規格に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準等について」(令和3年8月12日 基発0812第5号をもって廃止)
平成30年3月28日 基発0328第2号
「電気機械器具防爆構造規格第5条の規定に基づき、 防爆構造規格に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準等について」(令和3年8月12日 基発0812第5号をもって廃止)
令和3年8月12日 基発0812第5号
「電気機械器具防爆構造規格第5条の規定に基づき、防爆構造規格に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準等について」
2.構造規格の検定の基準
次の2つの工場電気設備防爆指針が、構造規格の検定の基準になります。
(1) 工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆 2006)NIIS-TR-NO.39(2006)
(2) 工場電気設備防爆指針(粉じん防爆 1982)RIIS-TR-82-1
3.「構造規格」と「国際整合防爆指針2015」のいずれを適用すればよいか?
いずれの規格に基づいて電気機器を設計・製作・試験すればよいかは、メーカーの方針やユーザーからの要求によって決まります。いずれの規格に基づく電気機器でも検定を受けることができますが、適用規格はいずれか一方だけでなければならず、両方の規格の一部分ずつを適用することはできません。交付される型式検定合格証は(規格の相違による表記の違いはありますが)様式は同じで、法令上の扱いも同じです。
上記のように2つの規格があり、それぞれに応じて手続きなどが異なる場合もありますので、当協会では、防爆構造電気機械器具の検定申請のお役に立つように、検定申請の手引き等の参考資料を用意しております。
4.同じ編について異なる版「国際整合防爆指針2015」と「国際整合防爆指針2018」、「国際整合防爆指針2020」がある場合、いずれを適用すればよいか?
例えば、耐圧防爆構造を想定する場合、通常、第1編 総則と第2編 耐圧防爆構造を組み合わせることになります。ここで、第1編 総則はTR-46-1:2015と-1:2020、第2編 耐圧防爆構造はTR-46-2:2015と-2:2018があります。通達の構成上、第1編総則TR-46-1:2015と第2編耐圧防爆構造TR-46-2:2018の組み合わせとすることも可能ですが新旧に差分があることから、できるだけ新しい版を使って組み合わせることを推奨します。例えば、耐圧防爆構造を想定する場合、第1編総則TR-46-1:2020と第2編耐圧防爆構造TR-46-2:2018など。また、第2編耐圧防爆構造TR-46-2:2015を適用されるような場合、第1編総則は、TR-46-1:2015のように揃えることをお勧めします。なお、新旧両方の版を部分的に一部分ずつを適用することはできませんのでご注意ください。